預貯金の相続手続きには「相続手続依頼書」が必要!記入例や手続きの流れを解説
口座の名義人が亡くなったら、金融機関で相続の手続きが必要となります。
預貯金の手続きの際には「相続手続依頼書」という書類の記入をします。
今回は、相続手続依頼書の書き方や預貯金の手続きの流れを解説します。
そもそも相続手続依頼書とは
銀行など金融機関の預貯金口座の名義人が亡くなると、その後口座が凍結されて入出金ができなくなります。
そこで相続人や受遺者(遺言によって財産を貰い受ける人)が、金融機関に対し預貯金の払い戻し等の相続手続きを行います。その際に必要なのが相続手続依頼書です。
相続手続依頼書は金融機関がそれぞれ独自に発行しているものなので、名称や書式が若干異なります。
例えば
・ゆうちょ銀行「貯金等相続手続請求書」
・三菱UFJ銀行「相続届」
・三井住友銀行「相続に関する依頼書」
・みずほ銀行「相続関係届書」
などです。
どこの金融機関の書類でもよいわけではなく、被相続人の利用していた金融機関の書類をご準備ください。
どこでもらえる?相続手続依頼書の入手方法
まず該当の金融機関に相続が発生したことを伝え、下記のいずれかの方法で相続手続依頼書を受け取ります。
入手方法①郵送で送ってもらう
相続が発生したことを伝え、金融機関の相続手続きに必要な書類を郵送してもらういます。
わざわざ支店に出向かなくとも、取引のあった金融機関にお電話します。相続受付専門窓口を設置している金融機関もあるので公式サイトを確認してください。
郵送物の中に「相続手続依頼書」も同封されています。
入手方法②最寄りの店舗で受け取る
近くに店舗がある場合は、直接店舗に行って「相続が発生したので、相続手続きに関する必要書類がほしい」と伝えると、その場で相続手続依頼書を含む書類を受け取ることができます。
もちろん、被相続人と取引のあった金融機関へ出向くことになります。
※ゆうちょ銀行の場合
ゆうちょ銀行では、まず窓口にある「相続確認表」に必要事項を記載して提出します。その後貯金事務センターから相続手続に関する必要書類が郵送されてきます。
その中に相続手続依頼書(貯金等相続手続請求書)が同封されています。
預金の相続手続きの流れ~相続開始から払戻しまで
預貯金の相続手続き・金融機関での相続手続きとはつまり、預貯金の払い戻し(解約)の手続きを指します。
一般的な相続手続きの流れを説明します。※取引金融機関により若干異なることがございます。
①相続発生を伝える
取引銀行に口座の名義人が亡くなったこと(相続の発生)を伝えます。取引の内容や相続のケースに応じて、具体的な相続の手続きについての案内があります。
この時点で口座から入出金ができなくなります。被相続人名義の口座が凍結されるためです。
②必要書類の準備
遺言の有無など相続の状況により必要書類は異なります。手続きをスムーズにすすめるためには、金融機関が指定する書類を正しく収集する必要があります。
金融機関によって戸籍や証明書について有効期限を設けている場合があります。書類を取得する時期に注意しましょう。
こちらでは代表的な必要書類を紹介します。
遺言書あり
・遺言書(原本)※自筆証書遺言の場合は検認済証明書も必要
・相続手続依頼書(銀行所定のもの)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・遺言執行者の選任審判書謄本(遺言執行者がいる場合)
・受遺者、遺言執行者の印鑑証明書
・受遺者、遺言執行者の実印
・被相続人の通帳及びキャッシュカード等
遺言書なし
・遺産分割協議書(相続人全員の署名、実印)
・相続手続依頼書(銀行所定のもの)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍
・相続人全員の戸籍
・相続人全員の印鑑証明書
・被相続人の通帳及びキャッシュカード等
※遺産分割協議書がある場合
手続きを相続人の代表者が行う場合
また預金の払い戻しを相続人の代表者が行う場合は、上記の書類に加えて
・相続人代表者の通帳
・相続人代表者の実印
・相続人代表者の免許証等本人確認書類
が必要です。
ステップ③書類の提出
相続手続依頼書に依頼内容を記入し、ステップ②で集めた書類とともに取引金融機関に提出します。
提出先は、支店の担当や相続専門部署など金融機関によって違うので、必ず確認してから提出しましょう。
ステップ④払い戻し等の手続き
必要書類を提出し金融機関の確認が完了すると、払い戻しの手続きが行われます。
提出から払い戻しまで、通常は1〜2週間程度かかります。書類の収集などを含めると払い戻しまでは1か月程度かかると考えておきましょう。
【記入例】相続手続依頼書の書き方と注意点
相続手続依頼書の記入例として、こちらではゆうちょ銀行の場合で説明したいと思います。
相続手続依頼書は金融機関によって書式が異なりますが、記入しなくてはならない内容は共通しています。
①相続確認表
ゆうちょ銀行の場合、まず「相続確認表」に記入し提出する必要があります。
相続確認表は、被相続人と相続人の関係や、被相続人の貯金の状況を確認するための書類で、3枚つづりになっています。
【相続確認表の記入例】
(1枚目)相続人の関係を確認するための書類①
(2枚目)相続人の関係を確認するための書類②
(3枚目)被相続人の貯金状況を確認するための書類
②相続手続依頼書
ゆうちょ銀行の場合は「貯金等相続手続請求書」にあたります。
相続確認表の提出後、1〜2週間で郵送されてきます。
【貯金等相続手続請求書の記入例】
注意点
・相続人全員の署名及び捺印が必要
相続人が複数いて、離れて住んでいたとしても必ず各相続人が自署しなくてはいけません。
「面倒だから」「バレないだろう」と代筆すると、後に相続トラブルになりかねないので絶対にやらないでください。
・通帳などの喪失
通帳や証書などをなくしている口座がある場合は、それを記載する箇所があります。
「口座番号がわからない」あるいは「被相続人の口座を把握しきれていない可能性がある」などの場合は、被相続人の口座の有無や残高などの照会ができます。金融機関に問い合わせて必要な書類を揃えて確認しましょう。
※ゆうちょ銀行の場合
「貯金等照会書」(窓口もしくはホームページからダウンロード)に記入して、窓口に提出すると現存照会できます。
金融機関での預貯金の相続手続きは早めの対応を!
銀行等の預貯金口座は、口座の名義人が亡くなった事実を銀行等が知った時点で、口座自体が凍結されます。
これは、被相続人の預貯金が「相続人全員の共有財産」となるためです。預貯金をめぐる相続人同士のトラブルを防ぐために口座を凍結し、入出金ができないようにしています。
凍結を解除して預貯金を払い戻すためには、
・遺言書に指示されている預金の相続人、あるいは遺言執行者
・遺言書がない場合は、遺産分割協議(相続人全員による話し合い)で決めた預金の相続人が金融機関で手続きを行います。
手続きを行わないままでいると・・・
凍結された口座が公共料金等の引き落とし先になっていた場合、引き落としができず滞納扱いとなってしまいます。
また手続きを行う前に相続人自身が亡くなると、さらにその相続人となる人の相続財産となるため、再度遺産分割協議を行わなければ払い戻しができません。
預貯金の相続手続きに期限はありませんが、先延ばしにするとこうした手間や不都合が生じるため、できるだけ早めに手続きをすませましょう。
口座凍結前に預金を下ろすのはNG?注意点とは?
銀行等が口座の名義人がなくなったことを知る前であれば、ATMからキャッシュカードでお金を引き出すことは可能です。
しかし遺産分割が終わっていないのに勝手に引き出してしまうと、以下のような問題が起こる可能性があるので注意してください。
①相続を承認したことになる(単純承認)
相続放棄(すべての財産を放棄)や限定承認(プラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続)ができなくなる場合があります。相続財産に借金などのマイナスの財産が多い場合は注意が必要です。
②相続トラブル
被相続人の預貯金は相続人の共有財産となるため、相続人の一人がお金を下ろしてしまうと、他の相続人との間でトラブルになる可能性があります。
相続手続きに関する無料相談実施中!
相続手続きや遺言書作成、成年後見など相続に関わるご相談は当事務所にお任せください。
当事務所の司法書士が親切丁寧にご相談に対応させていただきますので、まずは無料相談をご利用ください。
予約受付専用ダイヤルは03-5303-5356になります。
お気軽にご相談ください。
相続手続き丸ごと代行サービス(遺産整理業務)の料金表
通常、信託銀行の遺産整理業務の料金は、最低100万円程度からとなっているケースが多いようですが、当事務所では15万円(消費税別)~となっております。
そのため、相続財産が多額でない場合でもご利用いただけます。
また、信託銀行に依頼した場合、遺産分割協議書の作成や不動産の名義変更手続については司法書士報酬として別途費用がかかりますが、当事務所では司法書士が遺産管理人を引き受けておりますので、これらの手続きについても料金の範囲内で対応いたします。
相続財産の価額 | 報酬額(税込) |
---|---|
200万円以下 | 165,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 220,000円 |
500万円を超え5,000万円以下 | 220,000円~715,000円 |
5,000万円を超え1億円以下 | 715,000円~1,155,000円 |
1億円を超え3億円以下 | 1,155,000円~2,475,000円 |
3億円以上 | 2,475,000円 |